強引社長といきなり政略結婚!?
「そこまではっきり否定されると、さすがに傷つくな」
「だって!」
朝比奈さんが変なことを言うからだ。
悲しそうな顔をされたって、私は負けないんだ。しかも、わざとらしいし。
「着いたよ」
「え?」
窓の外を見てみれば、そこは私の家の敷地内だった。
乗馬クラブを出た私たちは、途中、ドライブスルーでファストフードを買い込み、それを昼食とした。私がまともに歩けないためだ。
お腹が満たされると、生理現象に従い、今度は睡魔が襲ってくる。寝不足ということもあって、一度閉じた瞼は今の今まで開かなかった。
「ちょっと待ってて」
朝比奈さんはスマートに助手席へと周り、再び私を抱っこした。
こんな格好を見たら、きっと多恵さんは腰を抜かすだろう。もしかしたら泡を吹いてしまうかも。
インターフォンを押すと、ほどなくして多恵さんが『はい』と応答した。