強引社長といきなり政略結婚!?
「そうはおっしゃいますが、いくらお転婆な汐里様とはいえ、殿方の力に敵いっこないのです」
お転婆は余計だ。
「汐里様にもしものことがあったら、朝比奈様に顔向けができなくなります。なんとしても、この私が汐里様をお守りしなくてはなりません」
多恵さんは持っていたほうきを置き、私の手を両手で握った。まだ震えているところが、多恵さんらしい。
「本当に大丈夫だから。多恵さんは心配しすぎなの」
「そのようなことはございません」
多恵さんが大きく首を横に振る。
「汐里様は、少し悠長に構えすぎでございます。お転婆なのに、そういったところばかりお嬢様っぽいんですから」
「多恵さん、それって嫌味?」
笑いながらも目を鋭くさせて言うと、多恵さんははっとしたように口元に手を当てた。
「も、申し訳ございません。私ときたら……」
「言ってることは間違ってないから、別にいいんだけどね」
多恵さんは、罰が悪そうに肩をすくませた。
悠長に構えているつもりはないけれど、どうも私は多恵さんの手に余る“お嬢様”みたいだ。
「中に入ろう」と多恵さんの腕を引っ張った。