強引社長といきなり政略結婚!?

「ちがっ……違います……」


声が震える。


「それじゃどうして」

「……好きすぎて……」


涙声だった。


「……え?」


朝比奈さんが目を丸くする。
もう白状するしかなかった。


「朝比奈さんのことが……好きすぎて苦しいんです……」


想いを吐きだしたのに、まだ胸が張りつめている。


「汐里……」


彼は虚を突かれたような表情をしたあと、頬を緩めた。涙の痕を指で拭い、朝比奈さんはそこにキスをした。
彼の唇は額へ移動し、そこから鼻先を伝って唇へ到達する。
軽く音を立てて離れると、吐息を感じる距離で朝比奈さんが「汐里」と囁いた。

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