強引社長といきなり政略結婚!?

「では行きましょうか」


日下部さんが声をかけ、彼が先頭で一番ホールのティーグラウンドへ向かう。


「風が少し強いですね」


日下部さんは目の上に手をかざしながら空を見上げた。
風は右からのアゲインスト。高く打ち上げたら跳ね返されてしまいそうだ。

おじい様がまずティーグラウンドへ立った。
三四〇ヤード、パー四。
グリーンは真正面。両サイドにはバンカーがある。

大きく振りかぶったおじい様の打球が大きな弧を描いて飛んでいく。飛距離は二〇〇ヤードといったところか。


「まずまずじゃな」


おじい様は満足気に振り返った。

続いて綾香さんだ。美しいフォームで送り出したボールは、低空飛行でまっすぐ飛んでいく。おじい様よりかなり遠くで着地したようだ。


「二三〇ヤードでしょうかね」


日下部さんが息を巻く。

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