強引社長といきなり政略結婚!?
「――ちょっと! 浩輔くん!?」
慌てて出した手は彼の左手に阻止され、浩輔くんが通話をタップしてしまった。
「もしもし。西野です」
名乗られてしまえば、もうどんな言い訳もきかない。
浩輔くんに当てつけるように大きなため息を吐いた。
「はい。汐里と一緒ですよ。いろいろと積もる話があったので」
浩輔くんが私を見ながらニヤリと笑う。
「話が済めば、ちゃんと汐里を自宅まで送り届けますのでご心配には及びません。……いえいえ、今すぐは無理です」
「浩輔くんってば! 返してよ!」
シートベルトを外し、浩輔くんにめいっぱい手を伸ばす。
それでも彼は器用に私から逃れ、一成さんとの通話をやめる素振りもない。
「どこにいるか教えられるわけがないじゃないですか。とにかく、今は汐里をお返しできません」