強引社長といきなり政略結婚!?

馬と触れ合うのは何年ぶりだろう。背中に乗ると、視界がぐんと高くなる。爽快だ。

私は黒い馬のチャーリーで、朝比奈さんは白馬のリンダ。私が腹を蹴ると、チャーリーがゆっくりと歩き出す。


「コース内じゃなくていいんですか?」


私たちが馬に乗っているのは、柵に囲まれたコースの外だった。
内側ではクラブの生徒なのか、数名がレッスンを受けている。


「平気平気」


どうやら、いつも自由に歩き回るスタイルらしい。宿舎まで案内してくれたスタッフも、特に咎める様子はなかった。

左手にコースを見つつ朝比奈さんのあとを追ってゆっくり歩いていくと、徐々に視界が開けた。
牧草地らしい。冬場だから青々とはしていないが、広大な土地を前にしてテンションが上がる。清々しい気分だ。

馬の足が徐々にスピードを上げていく。
本当に気持ちいい。

軽い駆け足で朝比奈さんとリンダを追いかけていると、少しずつペースダウンしていき、おもむろに止まった。
彼が振り返る。

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