強引社長といきなり政略結婚!?
「汐里、今のは笑うところじゃないぞー。俺は本気だ」
彼が親指を立てて自分の胸を差す。
「はいはい」
私が適当に返答をすると、朝比奈さんはなぜかちょっと嬉しそうに笑った。
「よし、リンダ、行くぞ!」
ポーンと腹を蹴ると、リンダが駆け出す。
私もチャーリーとそのあとを追った。
それにしても本当に広いところだ。これだけ馬で走ってきても、まだ乗馬クラブの敷地内らしい。
手綱を引いて止まり、朝比奈さんが振り返る。
「ここ、気に入った?」
「はい、朝比奈さんの気持ちがわかります」
空気の澄み具合も街とは全然違う。なにより、普段は接することのない馬に乗っている非日常感が、たまらなく心地いい。自然と笑みがこぼれてくる。
デートだと無理やり連れ出されて嫌な気分だったはずなのに。