オフィスに彼氏が二人います⁉︎
翌日。

【もうすぐ到着するよ】という内容のメッセージが、十七時頃届いた。

時山部長が午前中は仕事だったらしくこの時間からのデートになったわけだけど、私はというと朝からずっと落ち着かなくて……服や髪やメイクを何度も入念に確認していた。

どこに行くのかは聞いていないけど(正確には聞いたけど内緒だと言われた)、大人っぽい時山部長に合わせて、黒の膝丈ワンピースに、以前奮発して買ったネックレスを合わせた。髪も、休日はおろしていることが多いけど、アップにした方が大人っぽく見えるかなと思い、雑誌を見て苦戦しながらセットした。


玄関に置いた全身鏡で最終チェックを終えるのとほぼ同時に、時山部長から、到着したとのメッセージが届いた。

慌ててアパートの駐車場まで向かうと、見慣れない高級車が停まっていた。

私が車に近付くと、中から時山部長が姿を現した。


「お、お疲れ様です。じゃなかった、えーと……」

「はは。確かに、お疲れ様じゃおかしいね。今日はデートなんだから。
……服、かわいいね。惚れ直しそうだ」

「……っ」

ポッと頬が熱くなり、そのまま全身が熱を帯びそうになる。

時山部長は今日もスーツ姿だった。仕事終わりだからそうなのか、それとも、ラフな格好じゃ行かないような場所にこれから行こうとしているのか。それはわからない。


「さあ、乗って」

時山部長は助手席のドアを開け、私の腰にそっと手をあてながら、車に乗るようにエスコートしてくれる。


「し、失礼しますっ」

カチンコチンに緊張しながら、私は助手席におじゃました。
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