オフィスに彼氏が二人います⁉︎

【話したいことがあるんだけど、会ってくれますか?】

というLINEのメッセージを打ったけど……拒否されるのが怖くて、送れなかった。


だから、久我くんに拒否権を与えないようにしようと、仕事終わりに彼の家の最寄駅で待ち伏せすることにした。ちょっとストーカーっぽいけど……。


同じ職場の同期というだけあり、彼の帰宅時間などは大体把握している。
そして今日はノー残業デー。寄り道せずに帰ってきてくれれば、きっとそう遅くないうちに会えるはず。


そして期待通り、駅に居続ける不審者となる前に、改札を抜けてくる彼の姿を捉えた。


「久我くんっ」

駆け寄って声を掛けると、久我くんはさすがに驚いた顔で私を見た。
でもすぐに、「びっくりした。どうした?」と、普段とそう変わらない様子で返事をしてくれて、少し安心する。

でも、やっぱり目はまともに合わせてくれない。


「あのね、別れ話のことで話があって……」

私がそう話を切り出すと、彼はピク、と小さく肩を震わせる。そして。


「……俺は話すことは何もないから」

と、久我くんとは思えないほどの冷たい言葉を放たれた。


だけどこれも、きっと久我くんの嘘だ。
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