先生、もっと抱きしめて
「他の子やめちゃったから、あゆみに復帰してほしいのにさー。大学も、あたしたちは内部進学組だから受験勉強もないし」

唇を尖らせる葉奈ちゃんはとてもかわいいけど、やっぱりあのバイトは無理。

「……ヒロトと別れちゃったのに、そんな場にいられないよ」

「大丈夫だよ、一緒にならないようにシフト言っとくから。あたしはあゆみとバイトしたかったの」

「それは嬉しいけどさあ……」

「ヒロトがやめりゃいいのにね!なんなのアイツ、あゆみの気持ちもてあそんで……」

ひそひそと話を続けていたら、教壇からマツタクの冷ややかな視線を感じた。

こっちむいて咳払いしてる。
一応、アルバイトは禁止なのだ。

私と葉奈ちゃんは大人しく前を向き、ホームルームが始まった。

……もう、ヒロトの話をしても、あんまりつらくない。

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