狼社長の溺愛から逃げられません!
「さ、できましたよ!」
そう言って開放されたときには、私は別人になっていた。
綺麗にメイクされた顔はいつもよりもずっと大人っぽくて、セミロングのくせ毛の髪にカーラーで動きを出してアレンジしたアップヘアがとても可愛い。
衣装さんが用意してくれた膝下の丈のふんわりとしたスミレ色のドレスは、背中がわが大きく開いていて少し恥ずかしいけど、アップにした髪型にぴったりだった。
ドレスに合わせたパンプスを履かせてもらう。普段履くことのない、華奢なヒールが美しいパンプス。
「よし、完璧!」
「有川さんすごく可愛い!」
鳥谷部さんとメイクさんが顔を見合わせ大きくうなずく。
「すごい……!」
まるで魔法をかけられて変身したお姫様みたいだ。
鏡の前でぼうぜんと見違えた自分の姿を見ていると、肩を掴まれ立たされた。
「ほら、有川さん。ぼんやりしてる暇ないですよ!」
「え、待ってください。せっかくだから記念に写真を撮りたい……」
プロのメイクさんの手で、こんなに綺麗にしてもらえることなんてこの先ないだろうからと、慌ててスマホを出そうとすると「いいから!」とぴしゃりと叱られた。