狼社長の溺愛から逃げられません!
高層階専用のエレベーターに乗り込んで、隣に立つ社長のことを見上げる。すると社長もこちらを見ていた。
揺れもなく静かに上昇する箱の中で、言葉もなく視線を合わせる。
それが妙に恥ずかしくて慌ててうつむくと、頭上でちいさく笑う声がした。
社長の住む部屋は、ホテルのスイートルームに負けないくらい見事な夜景が見えた。
「わぁ……! すごい眺めですね!」
広いリビングは物が少なく、機能的でシンプル。
でもソファもダイニングテーブルも電化製品も、ひとつひとつが良質で高級なもので揃えられているのがわかる。
窓辺に近づいて目の前に広がる夜の街に見とれていると、社長が後ろで笑った。
「お前、本当に夜景好きだな」
クスクス笑いながら、後ろから抱きしめられた。
首筋に吐息が落ちて、それだけで背筋がしびれる。
「しゃ……ちょ」
振り向くと、綺麗な顔が近づいてきた。慌てて首をすくめ、顔をそらす。
キスから逃げた私に、社長が眉をひそめる。
「まだ焦らすのかよ」
ふてくされたように言われ、思わずきゅんと心臓が跳ねる。
だけどここで流されちゃだめだと唇を噛んで社長を睨んだ。