狼社長の溺愛から逃げられません!
「あいつも結婚と映画の完成で、うかれて手当たり次第キスしてたからなぁ」
「結婚?」
「あぁ。向こうで出会った映画関係者と結婚するんだってよ。その相手がアメリカ人のくせに妙に固くて、紗英が誰かとハグしたりキスしたりするたびに嫉妬するから紗英も面白がってわざとやってんだよ」
「じゃあ、社長と紗英さんに恋愛感情は……?」
「最初っから一ミリもねぇ」
「そうなんですね」
はぁーっと私が息を吐くと、社長がくすりと笑った。
「嫉妬した?」
その意地悪な口調に、涙目で社長を睨む。
「するに決まってるじゃないですか。恋愛感情がなくたって、キスしちゃだめですよ」
「だから、俺が帰国したときすねてたのか。ひとりで怒ってないで素直に聞けばいいのに」
「聞けるわけないです。社長はなにも言ってくれないから、私はずっと不安だったんですからね」
そう言うと、社長は笑いながら私の体を抱き寄せた。
まるで大切な宝物に触れるみたいに優しく、でもどこにも逃さないというように強引に胸の中に抱きしめられる。