狼社長の溺愛から逃げられません!


ぼうぜんとスマホを見下ろしていると、近くにいた古賀さんが心配そうな顔で声をかけてきた。

「有川さん、どうかした? 大丈夫?」

優しい言葉に涙腺が緩みそうになって、慌てて作り笑いを頬に貼り付ける。

「なんでもないです。大丈夫です!」

ぎこちない笑顔でそう言った私に、古賀さんは怪訝な表情でなにか言いかける。

けれど、その言葉を聞く前に「じゃあ、お疲れ様でした!」と大声で言って逃げるようにフロアを出た。


急ぎ足でエレベーターホールへと向かう。

誰にも会いたくない。誰とも話したくない。
きっと今の私、ひどい顔をしてる。

彼氏に振られたくらいなんだ。社会人なんだから、そんなことで落ち込んでどうするんだ。

いつものように電車に乗って、自宅のマンションまで歩いて、家に帰ってご飯を食べてお風呂に入ってテレビを見てベッドに入って。
朝になったらまたなにごともなかったように出社して、元気よく仕事をしなきゃいけないんだ。

それを毎日繰り返して。明日も明後日も明々後日も、ずっと。

そう思ったら、急に全てがいやになった。

< 27 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop