狼社長の溺愛から逃げられません!


そんなことを考えていると、愛想を尽かしたように冷たい声で努が言った。

『あー、もういいや』
「もういいって……?」

恐る恐る聞くと、わざとらしいくらい大きなため息と一緒に『別れよ』とそっけなく言われた。

「え……? 別れるって……」

努の言ってる意味が分からなくてきょとんと首を傾げていると、努が勝手に話を進める。

『そのうちお前の部屋に置いてある荷物取りに行くから、まとめといて』
「えっと」
『じゃあな』

戸惑っているうちに、一方的に電話が来られた。

ぽかんとしながら今の電話の会話を頭の中で反芻する。

別れるって、こんなに簡単にお別れなの?
顔を見もせず、電話でたった一言で……?

確かに、最近はうまくいってなかったけど、ちゃんと二年も付き合っていたのに。生まれてはじめての恋人だったのに。


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