狼社長の溺愛から逃げられません!
後頭部を支え引き寄せられた感覚とか、顔をかたむけながら黒い髪の間からこちらを見つめる視線とか、少し乾いた唇の感触とか……。
「ふーん。それでそれで?」
言いよどんだ私を、華絵さんが面白がるように問い詰める。
「ま、待ってください。思い出すだけで、恥ずかしくなっちゃうからダメです……っ!」
キスをする瞬間の社長のあの表情を思い出すだけで、背中から首筋にかけてむずむずして力が抜けてしまいそうになる。
真っ赤になった顔を隠そうと、テーブルの上のペーパーナプキンを顔の前で開いて華絵さんの視線を遮ると、クスクスと笑われた。
「キスされても、嫌じゃなかったんだ?」
そう聞かれ、考え込む。
「うーん、嫌ではなかった、のかな……。でも、驚きすぎてそんなことを考える暇がなかったというか……」
ペーパーナプキンで顔を隠したまま首を捻って考えていると、ぺろんとナプキンをめくられ華絵さんが顔を覗き込んできた。
「そうやって思い出すだけで真っ赤になっちゃうなんて、美月ちゃん社長のことが好きなんじゃないの?」
「な……っ!」
とんでもないことを言われ、一瞬凍りついた。