狼社長の溺愛から逃げられません!
驚きで手からナプキンが離れ、ひらひらと揺れて落ちていく。
ぱさりと膝の上に落ちたナプキンを見て、ようやく我に返って首を横に振った。
「ないですないですないですないです! あの鬼社長を好きだなんて!」
ぶんぶんぶん、と首が取れそうなくらい勢い良く横に振る。
「そう? けっこうお似合いだと思うんだけどなぁ」
無責任なことを言う華絵さんは、きっと面白がってるにちがいない。
私は頬を膨らませてフォークを持ち直した。
「お似合いなんかじゃないです。からかわないでくだい」
「からかってないのになぁ」
だって、あっちはイケメン社長だなんて雑誌でも取り上げられるくらい有名な人で、かっこよくて仕事もできて地位も名誉もある雲の上の存在で、私なんかが好きになったって相手にされるはずなんてない。
昨日のキスはきっと社長のただの気まぐれで、深い意味なんてなかったんだ。
それに、あんな俺様な鬼社長を好きになるはずがない。
万が一あんな人を好きになってしまったら毎日苛められて大変そうだ。
もぐもぐとパスタを頬張りながら、そう自分に言い聞かせた。