狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「あいつがもし土下座してよりを戻してくれって泣きついてきたら、お前追い帰すことできるか?」
「それは……」

想像して、悩んでしまう。

一年前に努に浮気をされて、そのパターンで許したことがあった。

何度も頭を下げる努に、なんだかそれ以上謝らせるのが申し訳ない気持ちになって、なにも言えなくなった。
責めることも拒絶することもできなくて、もやもやを抱えたまま付き合い続けたけど、多分あのときちゃんと話し合わなかったから、私たちはすれ違ってしまったんだ。

あんな間違いはもうしたくない。

「ちゃんと、もう好きじゃないって言います」
「それでも相手が聞く耳を持たなかったら?」
「わかってくれるまで、話をします」
「じゃあ、向こうが逆ギレして無理やり押し倒してきたら?」
「そ、そんなことありえないですよ」

いくら付き合っていた元彼でも、相手の合意もなしに無理やり押し倒すなんて犯罪だ。私がそう言うと、社長はあきれたようにため息をついた。

「お前は本当に男を分かってない。ふたりっきりで部屋に上げたらそういうことだってありえるんだから、もっと警戒しろ」

そう冷たく言われ、私は黙り込んでうつむいた。

 
< 73 / 273 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop