狼社長の溺愛から逃げられません!
「二度とこいつに連絡してくるなと、昨日はっきり言ったはずだけど?」
長身の社長を見上げていた努が、眉をよせる。そして社長ではなく私に向かって詰め寄ってくる。
「美月、こいつかよ、昨日キスしてた相手は。俺とこいつを二股かけてたのかよ! ふざけんなよ!」
私に殴りかかりそうな勢いでそう言った努に、社長が私をかばうように前に出た。そして努の洋服の襟元を掴み上げ、にらみつける。
「自分のことを棚に上げて、よくそんなこと言えるな」
低い声でそう言われ、努があきらかに動揺するのが分かった。
「お前にこいつを責める権利なんてねぇだろ。ふざけてんのは、どっちだ」
「くっ……」
「本当に女々しい男だな。昨日だって本当にこいつのことが好きなら、隠れて見てないでその場で俺のことを殴ればよかっただろ。男相手じゃ敵わないからって、あの場はこそこそ逃げ帰って、こいつがひとりのところを狙って文句を言いに来るなんて、情けねぇ」
吐き捨てるようにそう言って、社長が努の胸元を掴んでいた手を離す。
すると迫力負けしてすっかり萎縮した努が、へたりと地面に尻もちをついた。