狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「とぼけるなよ。昨日、家の前でお前ほかの男とキスしてただろ」
「あのとき見てたの……?」

社長に車で送ってもらったことを、努が見ていたなんて。
驚く私に、努が詰め寄る。

「どういうことだよ。せっかく俺がお前んちの前で待っててやったのに。ふざけんなよ」

私の腕を掴んだ指に、ギリギリと力を込めながらそう言う。二の腕の痛みに努の怒りが伝わってきて怖くなる。

「あれは、二股なんかじゃなくて……」
「じゃあなんだよ!」

苛立ちをこらえきれない努が、掴んだ私の腕を乱暴にひきよせた。

「きゃ……っ!」

グイっと強引にひっぱられバランスを崩して倒れそうになる。反射的にぎゅっと目をつぶったとき、誰かの腕がのびてきて私の体を支えてくれた。
転ぶ寸前で抱きしめてくれたのは、不機嫌そうな長身の人。

「社長……」

ぽかんとして社長のことを見上げていると、社長は私を抱き寄せたまま冷たい視線を努に向かって投げる。

「こんなところでなにをしてる」

社長の綺麗な唇から出たのは、ぞっとするくらい冷たい声だった。

「あ、いや……」

突然現れた社長に、努はあせったように私の腕から手を離す。

 
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