狼社長の溺愛から逃げられません!
「いや。華絵さんから、有川さんがひとりで残業してるって聞いたから」
古賀さんは首を横に振りながらそう言って、私のデスクの上に紙袋をぽんと置いた。
「有川さんのことだから、また張り切ってご飯も食べずに仕事してるんだろうなぁって思って」
開けていいよ、と言われ首を傾げながら紙袋を開けると、中にはハンバーガーの包みとポテトが入っていた。
美味しそうな匂いに、思わずお腹がぐーとなる。
「わ! 古賀さんわざわざ買ってきてくれたんですか?」
ぱぁっと顔を輝かせて振り向くと、古賀さんは笑いをこらえるようにして頷いた。
「うん。お腹を空かせてたらいいアイデアもでないかなと思って。食べていいよ」
「ありがとうございます!」
ひとりぼっちのオフィスで孤独にコピーを考えていたから、人の優しさが身にしみる。
うれしくて顔をくしゃくしゃにして頭を下げると、古賀さんがぽんぽんと私の頭をなで隣の席に腰を降ろした。
「社長に無茶振りされたんだって?」
さっそくありがたくハンバーガーにかじりつくと、そんな私を眺めながら古賀さんが聞いてくる。
「そうなんです。明日までにコピー百個」
「相変わらず社長は鬼だね」
古賀さんの言葉に、もぐもぐとハンバーガーを頬張りながらうなずく。