狼社長の溺愛から逃げられません!
 

「……そうじゃねぇよ」

社長はあきれたように、もういちどため息をつく。
その社長の表情に、車の中での会話を思い出した。

「あ、社長はこれから予定あるんでしたよね。すいません無理に引き止めて」
「予定は別にいいんだけど……」

家まで送ってもらって、荷物も運んでもらって、その上帰ろうとしているところを引き止めるなんて、ワガママにもほどがある。
気が利かない自分が情けなくて肩を落とすと、社長がため息をついた。

「……お前、そんな顔されたら帰れないだろ」

社長はそう言って、開けていた玄関のドアを後ろ手に閉める。

「少しだけ邪魔する」

その言葉を聞いて、もう少し社長と一緒にいられるのが嬉しくて、笑顔で「はいっ」と頷いた。



「狭い部屋ですいません」

ワンルームのマンション。玄関に入っただけで、室内の全てが見渡せる小さな部屋。

そんな私の部屋に社長がいるなんて、なんだかすごく変な気分だ。
背の高い社長が立っているせいか、部屋の天井がいつもよりも低く見える。

 
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