好きな人が現れても……
そんな都合のいいことなんてさせられない。
私が課長を思う気持ちごと受け止めさせてはダメだ……。


「俺、イヤなんだよ。横山が辛そうにしてるのを見るのが。
それ位なら俺がお前を受け止めてやる。その男を今は思ってても、先では変えてみせるから頼れ」


「頼れって…」


そんなつもりで話した訳でもない。
第一、この間断った筈だ。


「私……そんな都合のいいこと出来ない」


好きなのは課長で紺野君ではない。


「でも、横山の中では気持ちを持て余してるんだろ。持て余してもどうにも出来ないから喋ったんだ。
だから俺はその溢れる気持ちごと、お前を丸ごと受け止めてやる。幾らでも泣いていいから頼ってみろよ」


真っ直ぐな瞳で言われ、少し心がグラついた。
紺野君の真面目な気持ちに、酔った状態で返事をしたらいけないような気がしてきた。



「ごめっ……今夜は何も言えない……」


返事を先延ばしにして欲しいと頼んだ。
そのまま一気に残りの梅酒を煽ってから店を出た。



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