好きな人が現れても……
これも亡くなった奥さんの起こした奇跡かもしれないと思い直し、改めて前向きに生きていこうと決めたのだ。

ピアノを売ったり、彼女の荷物をまとめてご実家へ送ろうとしてたのもそれでだ。


……あの日の夜、彼に全部教えてもらった……。



相川さんと高山さんの挙式が済み、三人でいたら紺野君が来た。


「横山、泣かされてないか?」


時々こう言って探りを入れる。
私はううん…と笑って答え、彼は泣かすもんか…と張り合う。


紺野君には今、新しい彼女がやっと出来た。
私を課長に託してから、やけくそのように合コンに参加して作ったのだそうだ。



「俺知らなかったよ。相川さんがバツイチだったなんて」


公言を避けてきたから当たり前。
取引先の社長と再婚なんて玉の輿だよなぁ…と唸ってる。


「横山も相手考え直したら?」


「紺野、減給扱いにするぞ」


秋の人事異動で庶務課から総務へ異動した彼は、そう言って紺野君を脅す。

顔を合わせる度にそのやり取りを繰り返してるものだから、私は面白くて仕方ない。


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