「強がってんだよ…気づけバカっ。」


楠木くんと玄関に向かう。


遠くなる楠木くんの背中は
私の寂しさを倍増させる

玄関について靴を履いた楠木くんは
振り返って私と向き合った


「綾瀬さん、今日、お母さんは?」

「えっ?、、」


そっか。心配してくれてるんだ。
どこまでも優しい楠木くんを
本当に好きだって、感じる。


「うん、今週は出張で帰ってこないから
大丈夫だよ。」

「そっか、ちょっと安心した。」

「っ、、ありがと。」


何か思い出したような楠木くん


「あっ、、お母さんみえないなら、
もしかして家にひとり?」

「えっ、あ、うん。」

「そっかー。
ごはんとか食べられる?」

「、、うん。大丈夫だよ。」



なんて、嘘をつく。

食べるものは何も無い、、
お金がないんじゃない。

ただ、食べる気になれないだけ。


「ちゃんと食べないとだよ、、」

「、うん。ありがとっ。」


「うん。じゃあ、ゆっくり休んでね、、
無理しないで、来れそうならまた明日
学校で会おう!」

「うん!、、今日はホントにありがとう
また明日ね!」


「また明日。」


無理でも明日また学校に行こう。
楠木くんに会えるって
ただそれだけで、、がんばれる気がした。


【また明日】
この言葉は、また会える約束みたいで
うれしかった。
< 61 / 129 >

この作品をシェア

pagetop