「強がってんだよ…気づけバカっ。」

好き。楠木くんが好き。

このどうしようもない感情は
なかったことにはできなくて、、

いつもみたいにすぐ
この気持ちも消せたら楽なのに‥

できないでいる。


窓の外は暗くなっていた
夕焼けはとっくに消えていて
後はきっと、闇に覆われるだけ


「楠木くん、もう外暗くなっちゃたから
そろそろ帰らないとだよね?」

「んー、もうちょっとだけいてもいい?」


そんな事を言ってくる楠木くんは
自分の一言一言がどんだけ
私をドキドキさせるのか知ってるのかな

好きだって気づくとどうしても、
その人の言動が気になってしまう。

こんな気持ちは初めてで
どうしたらいいのか分からない


「でっ、でも、楠木くんの親さんとか
心配するよ、きっと。」

できることなら、このまま
ずっと一緒にいられたらいいのに

そう思う。

帰って欲しくなんかないよ


でも、楠木くんには心配してくれる
親さんがいてくれるはずだから、

私なんかとは違うから




「っ、、そうだよなー、
じゃあ、 もうそろそろ帰ろうかな。」



帰っちゃうんだ。

自分から帰らせそうとしたのに
楠木くんが本当に帰ってしまうと思うと
寂しくなってしまう‥


けど、楠木くんが帰るって言ってくれたのは
きっと、、私の事情を知って、、

親の存在に敏感になってる私を
気遣ってくれたからだって分かる
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