渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「こ、国王陛下……?」
「よくぞ、帰ってきてくれた。お前のおかげで、船員達の命は救われる」
「あ……ありがたき、お言葉っ……」
船員は涙を流しながら、ひれ伏す。
そんな船員の肩に手を置いて立ち上がると、ガイアスは側近であるシュドを振り返る。
「シュド、海兵に出動命令を出せ」
「もう発ちますか?」
「あぁ、今すぐにだ」
ガイアスは不敵に笑い、腰の剣に手を添える。
(我が国の民に手を出した事、後悔させてやるぞ、ヘルダルフ)
ガイアスはツカツカと靴を鳴らして王間の出口へと向かう。
その背中は、誰もが認める、強き英雄王の背中だった。