渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「ぐぁぁぁぁあっ……!!」
ヘルダルフの悲鳴と共に、ガイアスの剣は的確に胸へ深々と突き刺さる。
地面に仰向けに倒れたヘルダルフを、ガイアスは見下ろした。
「狂った王よ、これが民を苦しめた罰だ」
「英雄、王……」
「遺言は、聞いてやろう」
息も絶え絶えなヘルダルフの側に膝をついたガイアスは、口元に耳を近づける。
「……っ、塔へ……い、け……」
「……塔?」
「そこ……に、宝……が……」
そこまで言って、ヘルダルフは力尽きた。
ガイアスは最後の言葉がそれかと、呆れながらも立ち上がる。
「宝……とは、なんだ?」
宝などには興味なかったが、あの狂王が死ぬ間際に残した宝が何なのか、ガイアスは興味が湧いた。
「ガイアス様、制圧完了しましたよ」
「シュド、塔へ行くぞ」
「は?」
「あの狂王が大事にしていた宝が、眠っているらしい」
そう言って楽しげに歩き出すガイアスの背中を、シュドは不思議そうについて行くのだった。