渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「言い方が悪かった、俺はカルデアの生き生きしている顔が好きだ。まぁ、無茶は程々にしてほしいがな」
「ありがとう、ガイアス……」
「だから、俺も隣でカルデアを見張る事にする」
苦笑いしながらガイアスは、カルデアを真似てオレンジの皮を剥き出す。
その手際の良さに、カルデアは驚きながらガイアスの手元をのぞき込んだ。
「あなたも、手先が器用なのね!」
「戦に行く時、俺達は自分で食事の支度をするからな。そういうカルデアも、王妃とは思えない手先の器用さだぞ」
「私はほら、使用人として働いていた時期もあったから……」
カルデアの言葉を聞いたガイアスは、切なそうな顔をする。
そんなガイアスに、カルデアはニコッと笑って見せた。
「あのね、あの時間があったからこそ、私は使用人達や、民たちの気持ちをより理解出来たと思うわ」
確かに、辛く悲しい事もあった。
それでもカルデアは、過去も含めて愛してくれたガイアスのおかげで、こうして物事を前向きに捉えられるのだ。