渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「何を言っている、お前もそうならぬよう俺に尽くせ」
「国王陛下……なにを……」
「国に心尽くす大臣の命を奪う事を、俺も王妃も望まない。よって、お前は王妃も国も守る道を、俺と共に考えろ」
王妃の命を危険に晒すという、重大な罪を犯した大臣をガイアスは許した。
そんなガイアスを見つめて、カルデアは微笑む。
「ルドルフ大臣、どうか私をお救い下さい」
「王妃様……っ、この命にかけて、この頭脳をお役に立てると誓います」
カルデアはルドルフ大臣の心が救われるよう、あえて自分を救うようお願いをする。
そんなカルデアの優しさに気づいたルドルフ大臣は、静かに涙を流した。
「シュド、賊は全て我が軍の船に移し、帰還させろ」
「帰還させろ……という事は、ガイアス様はどうされるのですか?」
「この船を燃やすつもりだったが、好機な事に食料も強度もある。アルナデール国まで三週間もあれば着く距離だ、よって、このままアルナデール国に乗り込む事にする」
不敵に笑いながら答えたガイアスに、シュドは呆れたように額に手を当てて夜空を仰いだ。