渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「お前を罰せるわけが無いだろう、この俺に」
「ガイアス……」
「本当に、お前の心の清さには、驚かされる」
困ったように笑うガイアスに、カルデアはホッと息をついた。
ガイアスはカルデアと同じように、ルドルフ大臣の前に膝をつき目線を合わせる。
「もう一度尋ねる、何故カルデアを攫った。お前の考えを、包み隠さず俺に話せ」
ガイアスの言葉に、ルドルフ大臣は観念したように頷いて、口を開いた。
「……我が国を、アルナデール国のような貧困国にするわけには、いかなかったからです」
「国のためであったのなら、俺の心を支える王妃を危険に晒すべきではなかった」
「はい……それは、王妃様のお考えを聞いて、自分が間違えていたと気づきました」
ルドルフ大臣は、静かに頭を垂れる。
「王妃様の考えは、決して綺麗事だけでなく、現実を見た一言だった。国王陛下にとって、必要な存在です」
「カルデアは、この国を心から愛し、尽くせる女だ」
ガイアスは自慢げにカルデアの事を話した。
そんなガイアスに、ルドルフ大臣が頷く。
「これから先、私のような者も出てくるでしょう。それでも、王妃様だけは手放さぬように」
その言葉は、まるで死を覚悟した言葉だった。
それに、ガイアスは片眉を持ち上げて、怪訝そうな顔をする。