渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「ガイアス……?」
「おお、よく似合っている」
「え……?」
満足そうに笑っているガイアスに、カルデアはハッとして自分の胸元を見る。
カルデアの白い肌の上に琥珀の雫のような宝石が輝いていた。
ガイアスが首の後ろに手を回したのは、このペンダントをカルデアにつけるためだったのだ。
「これ……」
「お前が攫われた時、露店に一人で入ったのは、これを買うためだった」
「私の……ためだったのね……」
(どうしよう、嬉しくて言葉が出ないわ……)
心の奥底から湧き上がる歓喜に、カルデアの目に涙がジワリと滲む。
その目元に触れながら、ガイアスは目を細めた。
「結婚して一ヶ月だ、何かお前に贈りたくてな。かくいうお前は、高価な贈り物が嫌いだろう?」
(そういえば、ナディア国に来たばかりの時、ガイアスは高価なドレスや宝石ばかりを毎日贈ってきたわね)
その頃を懐かしみながら、カルデアは口元に笑みを浮かべる。
「だから、お前と町に出た思い出として、値段も張らないそのペンダントならば、受け取ってくれると考えたんだが……貰ってくれるか?」
「ガイアス……」
(私はこの先、あなたにどれだけの愛を貰い続けるのかしら……。それを全て返すには、生きている時間だけでは足りないわね)
カルデアは贈られたペンダントに指で優しく触れて、頬に伝う涙もそのままに、ガイアスを見つめた。