渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「私の幸せは、愛するガイアスの妻として生きる事」
「なにを言い出すのだ、お前は」
国王の咎めるような視線を無視して、カルデアは続ける。
「ナディア国の王妃として、民を愛する事」
カルデアは一歩ずつ前に出て、国王の前に跪く。
そして、一礼すると、カルデアは顔を上げて国王の穢れた瞳を見据えた。
「夫と共に国を守り造る事が、私の幸せです。そして、ここへはナディア国の王妃として、アルナデールの王女として、国を建国するために参りました」
「お前は……何を言っているのか、わかっているのか!?」
怒る国王の側で、アイルも驚きに満ちた顔でカルデアを見つめている。
そんな中、ガイアスはカルデアの隣に立ち、手を差し伸べた。
「カルデア、俺の妻として側にいてくれ」
「えぇ、ガイアス」
その手を取って立ち上がったカルデアは、ガイアスと笑みを交わすと、同時に国王へと視線を向ける。
二人の圧する瞳にたじろいだ国王は、王座からずり落ちそうになっていた。
「アルナデール国を国として機能させるには、自らの国で金を生み出せなければならない」
「幸い、アルナデール国にはウィッカーがあります。あのお酒は、この国でしか作れないので、自国の特産物として売り出せば、利益になります」
ガイアスに続き、カルデアも堂々と発言する。
カルデアは、アルナデール国に到着する前に、船で今後建国するための方針を聞かされていた。
国王や大臣達を納得させるには、アルナデールの王女、ナディア国の王妃という人徳や地位は武器になるとルドルフ大臣に助言を受けており、カルデアは説得するための情報を全て頭に叩き込んだのだ。