渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「先の書簡の事だが、あれでは交渉に値しない」
「何を言う、そもそもお前達と交渉する気など無いという意思表示だ、若造が」
苛立ちを顕にする国王に対し、ガイアスは余裕の笑みを浮かべている。
それだけで、どちらがこの場の主導権を握っているのかは、明白だった。
「我が国の財源の五割を与えたとして、そんな金は今のように豪遊していればすぐに尽きるぞ」
「その時は、またカモ見つけるだけだ!」
「ほう、その度にカルデアを嫁に出すつもりか」
自分の話が出たカルデアは、ビクリと肩を震わせた。
この地を旅立った時、カルデアには家族以外で心から愛した者がまだいなかった。
けれど、今は違う。
今のカルデアには、永遠に添い遂げたい愛する人がいる。
あの時に出来た自分を犠牲にするという選択は、カルデアの中にはもう、存在しないしないのだ。
「だから、ドアーズ国王に嫁がせるのだな?」
「フンッ、その方がカルデアだって幸せだろう。一生金に困らず、贅沢出来るのだからな」
当然と言わんばかりの国王に、カルデアは悔しくて涙が出そうになる。
(私は……もう、娘として見られていないのだわ。こんな人のために、もうこの身を捧げるわけにはいかない)
ただの、欲に塗れた国王を見つめて、カルデアは親子だからという情で、国王に尽くす事に決別した。