渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「アルナデール国に必要なのは、民のために戦う勇気と、真に国を愛する事の出来る王。その条件において、父様は王に相応しくない」
「この……王女であろうと容赦せんぞ! 兵よ、カルデアを捉えて牢にぶち込め!」
国王の声が王間に響くと、水を打ったように静まり返る。
その命令に、誰一人として兵士達が動く事はなかった。
「何故、私の言う事を聞かぬ!!」
「……カルデア姉様は、国の宝だ。皆に愛されている王女が、牢に入る事をここにいる誰もが望んでいないのです」
答えたのは、国王の隣に立っていた弟のアイルだった。
「兵士達よ、この愚王を牢へとお連れしろ」
「ハッ!」
アイルの命令に、兵士達は素早く行動を起こした。
王座から引きずり下ろされ、国王は「離せー!」と暴れている。
「それから、この場にいる大臣等に問う。国王解任にはあなた方の票が過半数必要だが、ここで、挙手で答えて頂きたい」
アイルの言葉に戸惑っていた大臣達は顔を見合わせる。
そして、「アイル様につくのが得作ですな」「大臣としての地位が無くならなければ、私としては好都合ですね」と私欲な丸出しな言葉を大臣達は平然と言ってのけた。