渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「我が国は、豪遊する国王によって財政危機にありました。私は、母国に富みと繁栄をもたらすため、このイナダ―ルの国王、ヘルダルフ様に嫁いだのです」
「お前の父君は……正気とは思えんな。あのヘルダルフに嫁いだのだ、お前は……その、大丈夫……だったのか?」
大丈夫とは、おそらく冷酷非道な国王に、何かされていないかという質問だろう。
カルデアは曖昧に微笑んで、否定も肯定もしなかった。
言いたくなかったのだ。暴力を受けていたことも、使用人と、して扱われていたことも。
それだけで、私の価値が損なわれ、この国の民を救うための交渉材料として、己を売り込めなくなると危惧したからだ。