渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「……わかった、それ以上はいい」
カルデアの誤魔化すような笑みに胸を痛めたガイアスは、静かに首を横に振る。
それに、カルデアはなんだか泣きたい衝動に駆られた。
「夫は、私を愛してはおりませんでした」
「お前を愛さないなど、愚かな王だな」
ガイアスのぶっきらぼうな言い方に、カルデアは存在を認めてもらえたような気がして、温かい気持ちになるのを感じていた。
(本心を、ガイアス様には語ろう。きっとこの方は、この国の民も救ってくださるわ)
そう、カルデアは迷いなく信じられた。
「それでも、この国は私の嫁いだ国。母のような心で、この国と民を愛しています」
「なんと……お前を苦しめたこの国を、お前は愛しているというのか」
「はい……。それに、この国の民や使用人、兵たちは優しかった。私をこの塔から逃がそうとしてくれたのです」
(トールさんも、使用人のみんなも、民も無事でしょうか……)
カルデアは優しくしてくれた人達の顔を思い浮かべて、胸を痛めた。