渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「この部屋の扉は開いていた。カルデア、お前は己の意志で、ここに残ったのか?」
「……紛れもなく、私はこの国の……王妃ですから」
たとえ名ばかりであろうと、カルデアはこの国の王妃であることを受け入れている。
そんなカルデアを見つめて、ガイアスはやはり、驚きに目を見開いた。
「……先ほどは、その容姿を褒めたが、お前は心さえも気高く、美しいのだな。そして……健気だ」
「えっ、あ……!」
突然、カルデアはガイアスに強く抱きしめられた。
大きなガイアスの体は、小さなカルデアをすっぽりと覆い隠す。
まるで、この世の悲しみ全てから守るかのような、温かなガイアスの腕の中で、カルデアは居心地の良さを感じていた。