渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「心優しいお前に、俺から話さなければならない事がある」
「話さなければいけない事……?」
ガイアスは一瞬躊躇うように言葉を詰まらせたが、意を決したように口を開いた。
「俺は我が国の貿易船と、船員を捕虜として捉えられたために、この国に攻め入った」
「はい、聞いております」
「だが、船員はすでにヘルダルフによって……処刑されていた」
ガイアスは、悲しみに泣くことは無かったが、その声は悔しさと怒りに震えていた。
「なんて事をっ……」
(尊い命を、簡単に奪える男。それが我が夫、ヘルダルフ様だった。なぜ、そこまでして人を傷つけることが出来るのか……私には、理解できないわ)
その悲しみを労るように、カルデアはガイアスの背に腕を回して、優しく撫でた。
ガイアスの体が、ビクリと震えたが、カルデアはそのまたあやし続ける。