渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「すまない……」
「……いいえ、ガイアス様は何も悪くありません。命を無意味に奪えば、必ず報復を受けます。それが、自然の摂理なのです」
(己の罪はいつかかならず罰となり、返ってくる。ヘルダルフ様は、命を奪い過ぎたのだわ……)
「だが、死ぬ間際にお前の事を、宝だとあの王は言ったのだ」
「え……」
(そんな、あの人は私を王妃などと思った事は一度も無かったはず。なのに、何故……?)
カタカタと体が震えた。
そして、悲しみが胸の奥底から突き上げてくるように溢れてくる。
「狂ってはいたが、あの男にも好いた女がいたのだな」
「そんな、あの人は……っ、私など……愛して……っ」
カルデアの頬に、熱い雫が伝っていく。
それを、どこか他人事のように感じていた。
(なぜかしら、涙が……どうして私は、泣いているのかしら)