渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「カルデア、泣いているな……」
「どうして、あの人はっ……誰も愛さない……なのにっ……」
(愛しているなど、一度も言ってはくれなかったというのに……)
目を見開いて驚いているカルデアの頬に、ガイアスの骨ばった長い指先が触れる。
「心優しいお前の事だ、たとえどんなに罪深い命にさえ、失われれば、慈しんで泣くんだろう」
「あぁ……っ」
(あの人には、きっと泣いてくれる人もいないのでしょうね。ならば……私だけは泣いてあげましょう)
「ふっ……うぅっ……」
「他の男のために泣くのを許すのは、これが最後だ」
どこまでが本気なのかわからないまま、カルデアはガイアスの腕の中で泣き続けた。
こうして、カルデアは嫁いで五ヵ月で、未亡人となったのだ。