渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
ひとしきり泣いたカルデアは、ガイアスからそっと体を離した。
(子供みたいに泣いた手前、なんだか恥ずかしいわ……)
頬を赤らめながら俯くカルデアを、ガイアスは眩しいモノでも見つめるように目を細めて、その金色の髪を撫でる。
「そのように恥ずかしがるな。カルデアは美しいだけでなく、可愛いらしい所もあるのだな」
「か、からかわれていますね、ガイアス様……」
「フッ、そのように、頬を赤らめるカルデアが見たかったのだ」
当然だろうと言わんばかりに、ガイアスはふんぞり返って言い切ると、カルデアの肩にそっと手を置いた。
「カルデア、この国に新たな王が立つまでの間、我が国が新しい王政の確立と戦争による復興の手助けをすると誓おう」
「えっ……それは、本当ですか!?」
「カルデアの美しさに、心撃たれたからだ。だから決して、何も出来なかったなどと、自分を責めるな」
「あ……っ」
(私が、自分を責めている事に気づいてくれたのね……。なんて、心優しい国王なのかしら。ガイアス様のような国王が、アルナデールや、イナダールにもいたら……)
後悔の念に取られそうになるカルデアは、それを振り払うように首を横に振った。
「この俺がイエスと言ったら、それが答えだ」
「あ……ふふっ、ガイアス様は不思議な人ですね」
「俺が不思議だぁ?」
またもや驚いているガイアスに、カルデアは笑みを浮かべると、ベッドから立ち上がる。
そして、ガイアスの目の前に立った。