渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「えぇ、私のような敗戦国の王妃にすら、優しくしてくださるのですから。心から感謝します、ガイアス様」
カルデアは汚れ、裾もボロボロになったドレスのスカートを摘み、膝を曲げて身を深く沈めると、敬意を込めてお辞儀をした。
「本当に……美しい女だ」
ガイアスは、どんなに粗末な服を身に纏おうと、心が美しい女は、その美しさや気高さを失わないのだと思った。
「まさに、俺の求める理想の女」
「ガイアス様……?」
カルデアが不思議そうに小首を傾げる仕草でさえ、ガイアスは胸がキュッと締め付けられるような切なさを覚える。
その胸の苦しさを埋めるものは一つしかないと、ガイアスは悟っていた。
もちろん、目の前にいる女、ただ一人だと。
「カルデア、お前は今日から未亡人になったな」
「はい」
「では、お前を俺が娶ろうと、誰にも文句は言われまい。カルデア、俺はお前に一目惚れした」
(さっきの求婚は、本気だったの……?)
目をパチクリさせるカルデアに、ガイアスは強気に笑いかけ、お辞儀したカルデアの手を掬うように取る。