渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


***

船に乗って二日が経った。
船の中に部屋を一室与えられて、カルデアはそこで横になりながら、体の怠さと頭痛を伴う高熱に耐えていた。


「……はぁっ、はぁっ……」

「船医、カルデアはどうなってしまったのだ?まさか、何かの流行病ではあるまいな?」


荒い呼吸で寝台に力なく横たわるカルデアを見て、焦ったように船医に尋ねる。

つい数時間前、外で珍しそうに海を眺めていたカルデアは、口渇を訴えながら意識も朦朧とさせ、突然倒れた。

ガイアスは慌ててカルデアを抱え、船医の元へと駆け込み、今に至る。


「カルデア様は、熱射病にかかられたのです」

「熱射病だと?」


南国生まれであるガイアスには馴染み深い病の名だが、ナディア国に比べれば、この海域の日差しはそんなに強くない。

なのに何故、カルデアは熱射病になったのかと、ガイアスは顎に手を当てて考える。


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