渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「カルデア様は北国の出身です、イナダール国の日差しでさえお辛かったでしょう」
「そうか……!」
(カルデアの国は雪の降る北国だ。俺とした事が、失念していた)
ガイアスはカルデアの火照った頬に触れると、信じられない熱を持っている事に驚いた。
「ここまで、身体が弱かったとは……すまない、カルデア」
「ん……うぅ……っ」
熱にうなされているカルデアに、ガイアスは申し訳ない気持ちになる。
「塩水を飲ませて、額と首の後ろの布を出来るだけ頻回に取替えましょう」
「あぁ、わかった」
そう言ってガイアスは桶を手に立ち上がる。
すると、船医はギョッとした顔で「国王陛下!?」とガイアスを引き止めた。
「カルデア様の世話は、船員がやります。ガイアス様の手を煩わせるには……」
「何を言う、カルデアは俺の王妃になる女だ。この俺が責任を持って世話をする」
有無を言わさない迫力で、ガイアスは船医を振り切り、甲板へと出た。
そして、海水を桶で掬うと、カルデアの元へと戻る。