渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


(確か、海を見ていたら、急に意識が遠のいて……)


「お前は、熱射病で倒れたんだ」

「ねっしゃ……?」


カルデアには、聞き慣れない病名だった。

それも当然だ。カルデアの国では雪による凍傷はあっても、日差しはここ程強くないため、熱射病にはならない。


「お前の国では聞いた事はないだろうが、水分を取らずに太陽の下にいるとなる病気だ」

「そう……なの、です……ね」

「体を冷やし、塩水を飲めば治る。安心して、体を休めるといい」


(ガイアス様……布を替えて下さってたわ。もしかして、付き添ってくれていたのかしら?)


国王であるガイアスになんて事をさせてしまったのだと、カルデアは落ち込んだ。


「迷惑……を、おかけ……すみま……」

「何を言う、俺にとってお前は大切な女だ。面倒を見るのはとうぜんだろう」


途切れ途切れのカルデアの言葉を、しっかり聞き取ったガイアスは、優しくカルデアの頭を撫でる。

その手が心地よくて、カルデアはまた眠ってしまいそうだった。


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