渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「海は、朝も昼も夜も、全く違う顔をしているのですね」
「あぁ、今の太陽が乱反射した、宝石のような海もいいが、月の光が反射する海も、幻想的で見物だな」
ガイアスも納得したようにカルデアに頷いてみせる。
同じ感覚を共有している喜びに、カルデアは興奮したように話を続けた。
「そんな海を見ていると、まだ知らない世界があったのだと、ワクワクするのです」
「カルデア、お前は……ハハッ」
ガイアスは、カルデアの話を聞くと、声を上げて笑った。
(あれ、私……なにか、変なことを言ったかしら)
カルデアがきょとんとガイアスを見上げると、ガイアスはその頭に優しく手を乗せた。
「深窓の王女だと思いきや、好奇心旺盛の元気な一面も持っている。俺は新しいカルデアが見られて、満足だ」
「あっ……すみません、はしゃいでしまって」
「俺は満足だと言っただろう、もっと色んな顔を見せろ。出来れば、悲しそうな顔より笑顔がいい」
(優しい人……胸に、火が灯るように温かいわ……)
頭を撫でるガイアスから優しい眼差しが返ってると、カルデアの心臓が跳ねる。