渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「カルデア様、騙されてはいけませんよ?この人は逞しく、凛々しいですが、自由奔放で、周りの人間を振り回す俺様……」
「シュド、カルデアに余計なことを吹き込むな!」
「カルデア様も、変な男に惚れられましたね」
悪気も無く、シレッと悪態を付くシュドに、カルデアは小さく吹き出してしまう。
そんなカルデアに、ガイアスとシュドは驚いたように顔を見合わせた。
「なんだ、なにが面白かったんだ?」
「あの、ガイアス様もシュド様も、私の周りにはいなかったタイプの方々なので……つい」
カルデアは口元に手を当てて、ニッコリと微笑む。
その笑顔を見たガイアスは、嬉しそうな顔をした。
「まぁそうだろう、俺のような男前は、そうそうお目にかかれないぞ」
「自意識過剰」
「シュド、暑くないか?あぁ、目の前にちょうど海もあるし、海水浴でもしてきたらどうだ?」
「ガイアス様だけでどうぞ」
「お前な……」
こめかみに青筋を立てたガイアスに、シュドは特に気にした様子もなく、カルデアの前に立つ。
「大陸を一周する暇は、ガイアス様には無いので、私と町にでも出掛けましょうね、カルデア様」
「なぜ、そうなる!」
ガイアスはシュドの肩を掴んで、カルデアの前からどかした。
気兼ねない二人の距離感に、カルデアは羨ましい気持ちになった。