渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~
「花を……」
「お花、ですか?」
「高価なモノはいりません。ただ、このナディア国には、どんな花が咲くのか、見てみたい……とは、思います」
自分から何かを望む事に慣れていないカルデアは、たどだどしく、そう伝えた。
そんなカルデアに、マオラは笑顔を浮かべる。
「わかりました!マオラにお任せ下さい!」
「マオラ?」
「さっそく、お伝えしてきますから!」
マオラはそう言って、いそいそとカルデアの身支度を済ませると、「失礼しました!」と部屋を飛び出して行った。
そんな嵐のようなマオラに、カルデア一瞬ポカンとして、「ぷっ」と小さく吹き出す。
「この国の人は、本当に温かい……」
だからこそ、カルデアの心は沈んだ。
残してきた者たちが、頭に過ぎるからだ。
「アイル……」
心残りは、アイルの事だった。
アイルは今も、あの極寒の地で、カルデアとした王になるという約束を叶えるために、奮闘している事だろう。