渇愛の契り~絶対王と囚われの花嫁~


(この国はアルナデールからとっても遠い、最南端の地……)


この国は、イナダール国以上の暑さが、年中続くらしい。
アルナデール国の雪を見る事は、きっと二度とないのだろう。


(もう、アルナデールの地は踏む事はないと、そんな覚悟でここまでやって来た。でも、ガイアス様に見放されたら私は、一体どこへ帰るのかしら……)


母国であるアルナデールか、嫁いだイナダール国か。
カルデアはそんな事を考えて、自嘲的な笑みを浮かべた。


「帰る場所など……そう呼べる場所など、私にはないわ……」


嫁いで五ヶ月いたイナダール国は、塔に幽閉されていて、ろくに国のことも知らない。

母国アルナデール国も、カルデアに財政価値がなくなったと知れば、帰還を歓迎はしないだろう。

大陸さえ違うこの場所にやってきた事を、カルデアは少しだけ後悔していた。


そんな後悔が、まるで見えない足枷にでもなったみたいに、カルデアは塔に幽閉されていた時のように、部屋の中に閉じこもるようになっていた。



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